スマホ学習
1日で小型船舶2級免許が取得出来る!
海ナビでは、お忙しい方用に1日で小型船舶2級を取得できるコースを用意しました。
国家試験開催日の午前中に学科の国家試験を受け合格し、その日の午後から弥富市の海ナビで国家試験免除の実技教習を受け、それで小型船舶2級免許を取得できるコースです。
学科の国家試験に合格するためには、ご自身で事前に学科の学習をしておく必要があります。
海ナビでは、できるだけ短時間の学習で合格できる水準に達するよう学習内容を厳選するとともに、船長として安全な航海をするための必要な知識が身につく内容としています。
このページは、学科試験合格を目指し、時間のあるときにスマホで学習して戴くために作成しました。
学科試験合格の基準 出題される50問中33問(65%)以上の正解で合格です。
但し、各科目毎に50%以上で、なおかつ全体で65%以上の正解が必要です。
① 小型船舶操縦者の心得及び遵守事項 12問 正解が6問以上
② 交通の方法 14問 正解が7問以上
③ 運航 24問 正解が12問以上
第1編 小型船舶操縦者の心得及び遵守事項
第1章 水上交通の特性
1-1 陸上交通との違い
1-2 水域利用者の特性・注意事項
1-3 漁具・漁法
1-4 事故の発生状況
第2章 小型船舶の船長の心得
2-1 船長の役割
2-2 船長の責任
2-3 シーマンシップ・海のマナー
2-4 安全な航海をするための船長の心得
2-5 事故が起きたときの対応
第3章 小型船舶の船長の遵守事項
3-1 小型船舶操縦者法に基づく遵守事項
3-2 小型船舶の免許制度
3-3 小型船舶の検査精度
3-4 小型船舶の登録制度
3-5 環境への配慮
第2編 交通の方法
第1章 一般海域でのルール (海上衝突予防法)
1-1 海上衝突予防法とは
海上衝突予防法は、一般海域すなわち世界中の海で、世界中の船舶が衝突を防ぐために守らなければならないルールです。
国際的に統一されたルールですから外国船との間でも衝突を防止できます。
1-2 避航船と保持船
2隻の船舶が衝突しそうになったら、どちらかが避けなければなりません。避けなければならない方の船を「避航船」避けられる方の船を「保持船」といいます。
① 避航船は、他の船舶から十分に遠ざかるため(近づかないため)出来る限り早めに、かつ、大幅な動作(変針、減速、停止)で他船の進路を大きく避けなければなりません。
②保持船の動作
1 保持船は、針路と速力をそのまま保たなければなりません。
2 避航船が衝突を避けるための適切な動作を取っているか疑わしい時は、短音5回以上の汽笛信号を発し避航船に警告します。
3 避航船が衝突を避けるための適切な動作をとっていないことが明らかな場合は、保持船は衝突を避けるための動作を取ることができます。ただし、横切り関係にある場合の保持船はやむ得ない場合を除いて左転して避航してはいけません
4 避航船が間近に接近し、避航船の動作のみでは衝突を回避できない場合、保持船は衝突を避けるための最善の協力動作を取らなくてはなりません。
1-3 各種船舶間の航法 (優先順位が決まっている)
船の種類や操縦性能が異なる場合、船舶同士の位置関係にかかわらず、他の船舶を避けなければならない船舶が定められています。
操縦性能の良い船が悪い船を避けることが、この規定の原則です。
なお、この航法は追い越し関係にある船には適用されません。
① 通常の動力船が避けなければならない船舶
1 運転不自由船
エンジンや舵の故障、その他異常な事態をが生じたため他船の進路を避けることができない船舶。
2 操縦性能制限船
浚渫作業、海底に電線を埋設するなどの作業中のため、他船の進路を避けることができない船舶
3 漁ろうに従事している船舶
船の操縦性能を制限する網や縄などの用具を用いて漁をしている漁船のこと。
(大きな網などを引っ張っていると、網が重くて舵を切っても曲がらない)
4 帆船
セール(帆)のみを使って走っている船舶。帆とエンジンの両方を使って走っている帆船は動力船となります。(帆で走っていると、風下には曲がるが、風上には進めない)
② 帆船が避けなければならない船舶
運転不自由船、操縦性能制限船、漁ろうに従事している船舶
③ 漁労に従事している船舶が出来る限り避けなければならない船舶
運転不自由船、操縦性能制限船
優先順位(下位が上位を避ける)
第一優先 運転不自由船 操縦性能制限船
第二優先 漁労に従事している船舶
第三優先 帆船
最も優先順位が低いのが通常の動力船
(この法律では、動力船の大きさによる差別はないが、大型船は操縦性能が良くないため、小型船が遠くで大型船を避け、衝突の恐れがないように努めましょう)
1-4 衝突を避けるための航法
(1)行会い船の航法
*行会いとは、真向かいまたはほとんど真向かいに行き合う場合のことです。
*2隻の動力船が行会い状態で衝突の恐れがある時は、お互いに他の船舶の左舷側を通過することができるようにそれぞれ進路を右に転じなければなりません。
*接近してくる他の船舶が真向かいから来るのかどうか確かめられない場合は、真向かいからくると判断しなければなりません。
イラスト
(2)横切り船の航法
*2隻の動力船がお互いに進路を横切る状態にある場合、その2隻をさして横切り船と言います。
*2隻の動力船がこのような状態で衝突のおそれがあるときは、他船を右舷側に見る船舶は他船の進路を避けなければなりません。(避航船) 他船を左舷側に見る動力船は、そのまま針路と速力を保持します。(保持船)
*他船の進路を避けなければならない船舶は、変針または減速、停止あるいは後進して避けますが、やむを得ない場合を除いて、他船の、船首方向を横切ってはいけません。
*他船を左舷側に見る動力船は、針路、速力をそのまま維持する保持船です。
*避航船が衝突を避けるための適切な動作をとっていないことが明らかな場合は、保持船は衝突を避けるための動作を取ることができますが、横切り関係にある場合の保持船はやむ得ない場合を除いて左転して避航してはいけません。
イラスト
(3)追越し船の航法
① 前の船を追い越す場合は、追い越す船が追い越される船を避けなければなりません。
追い越し線とは、他の船舶の正横後22°30′よりも後方からその船舶を追い越す船舶のことを言います。
夜間の場合は、他の船舶の船尾灯のみが見え、両舷灯を見ることができない位置から追い越す船舶のことをいいます。
② 追い越し船は、追い越される船を十分な間隔をおいて確実に追い越し、その船舶から十分に遠ざかるまでその船舶の進路を避けなければなりません。
③ 追い越される船舶は、針路と速力をそのまま保たなければなりません。
④ この場合追い越し船、追い越される船ともに船舶の種類に関係ありません。
⑤ また、自船が追い越し船であるかどうか判断できない時は、追い越し船と判断しなければなりません。
イラスト
1-5 基本となる航法
(1)見張り
船舶は、常に周囲の状況を判断し、他の船舶と衝突しないよう、目や耳やその時の状況に適した他のあらゆる手段により、常に適切な見張りをしなければなりません。レーダーを備えている船では当然これを活用します。
(2)安全な速力
船舶は常に安全な速力で航行しなくてはなりません
安全な速力とは、適切かつ有効な避航動作を取ることができ、その時の状況に適した距離で停止することができる速力のことです。
安全な速力は、船の操縦性能によっても変わりますが、視界の状態や風潮流などの海面の状態、あるいは船舶交通の混み合い具合などを考慮して決めます。
(3)衝突の恐れ
航行中に他の船舶が接近してきたら、衝突しそうなのかどうかを判断するために、その時の状況で行えるすべての手段を使いましょう。
もし、衝突するかどうかを確かめることができない場合は、衝突する恐れがあると判断し、早めに行動をとりましょう。
接近してくる船が、いつまでも同じ方向に見える(コンパス方位が変わらない)ような場合は、衝突の恐れがあると判断します。
(4)衝突を避けるための動作
船舶が他の船舶との衝突を避けるために取る動作は、十分に余裕のある時期に「ためらわず」に取らなければなりません。
衝突を避けるために針路または速力の変更を行う場合は、他の船舶にその変更が容易にわかるよう大きく行わなければなりません。
(5)狭い水道等における航法
① 船舶が川、狭い水道、航路筋など「狭い水道等」に沿って航行する場合は、安全な範囲において、狭い水道等の右側端に寄って航行しなければなりません。
② 長さ20 m 未満の動力船は、狭い水道などの内側でなければ安全に航行することができない大型船の通行を妨げてはいけません。
③狭い水道では、やむを得ない場合を除いて錨泊してはいけません。
④前方が確認できない湾曲に接近する場合は十分に注意して航行しなくてはなりません。
この時、船舶は長音1回の汽笛信号を吹鳴し、この信号を聞いた他の船舶は、同じく長音1回で応答しなくてはなりません。
1-5 灯火・形象物・信号
(1)灯火
海上衝突予防法に定められている灯火は、日没から日の出までの間(夜間)表示しなければなりません。視界制限状態など昼間でも目立つように付けた方が良いと認められる場合は表示することができます。
灯火の図解
① マスト船尾灯
灯色白で、図に示す射光範囲
② 右舷灯、左舷灯
右舷灯は緑色。左舷灯は紅色。
(横切り船の航法の時に、避航船からは相手船のマスト灯の白と左舷灯の赤が見えます。赤信号です。保持船からは相手船のマストの白と右舷灯の緑が見えます。緑なので青信号です。)
③ 引き船灯
黄色で射光範囲は船尾灯と同様。
④ 両色灯、3色灯
両色灯は、左舷灯と右舷灯とを一体にしたもので、船体の中心線上に設置します。
3色灯は両色灯と船尾灯が一体となったものです。
(2)形象物
掲げられた形象物によって相手船がどんな船で、どんな状況にあるかが判断できます。
形象物は、球形、円錐形、つづみ形、円筒形、ひし形の5種類があって色は全て黒色です。
(3)音響信号
① 長音
4秒以上6秒以下の吹鳴
② 短音
約1秒間の吹鳴
(4)操船信号
航行中の動力船は、海上衝突予防法に基づいて針路を変えたり、後進したりする時は汽笛による操船信号を行います。
① 針路を右に転じている場合は、短音一回。
② 針路を左に転じている場合は、短音2回。
③ エンジンを後進にかけている場合は、単音3回
(5)警告信号
他の船舶の意図または動作が理解できない場合や他の船舶が衝突を避けるための避航動作を取っているか疑わしい場合には、直ちに急速に短音5回以上の音響信号を鳴らさなければなりません。
(6)狭い水道での追越し信号
狭い水道で他の船舶を追い越す場合、他の船舶が進路を開けてくれなくては安全に追い越せない時は、定められた汽笛信号を行って、追越しの意図を示し、同意を得てから追い越さなくてはなりません。
(7)視界制限状態における音響信号
霧、もや、降雪、暴風雨、砂嵐などで視界が悪くて見通しがきかない状態を視界制限状態といいます。このような状態の時には、他の船に自船の存在を知らせるために音響信号を行います。
長さ12m 未満の小型船舶は、対水速力の有無に関わらず2分を超えない間隔の有効な音響信号を行わなくてはなりません。小型船ではホーンを鳴らす、または、法定備品として積み込まれている笛を吹くなどして周りに自船の存在を知らせます。
動力船 対水速力がある場合は、2分を超えない間隔で長音(4秒から6秒間)を一回。
帆船や操縦性能制限船等は、2分を超えない間隔で長音一回と短音2回
(8)遭難信号
船舶が遭難して救助を求める場合に行う信号で、それ以外に使ってはいけません。
① 信号紅炎 手持ちの炎火
② 左右に伸ばした腕を繰り返しゆっくり上下させることによる信号
③ 発煙浮信号 オレンジ色の煙が出る
④ N旗とC旗を縦に掲げる
⑤ 無線で「メーデー」
⑥ 船舶の甲板上で容器に入れた油を燃やす
第2章 港内での交通ルール (港則法)
2-1 港則法
出入港する船舶の多い大きな港では、海上衝突予防法で定められているルールだけでは港内における船舶交通の安全を保つのに不十分なため、港則法という特別なルールが定められています。
港則法が適用される区域では、海上衝突予防法のルールより港則法のルールが優先されます。港則法に規定されていない事項については海上衝突予防法のルールに従います。
2-2 港則法に定められた航法
(1)汽艇等の航法
20トン未満の汽船や櫓、櫂、はしけ、端船のことを港則法では「汽艇等」といいます。
汽艇等は、港内では汽艇等以外の船舶の進路を避けなければなりません。
(2)航路
喫水の深い大型船が出入りできる港または外国船が常時出入りする港を特定港と言います。特定港には航路が定められています。大型船は特定港に出入りしたり特定港を通過する時には航路を航行しなければなりません。
航路のルール
① 航路を航路に沿って航行している船が優先
航路外から航路内へ入り、または航路内から航路外へ出ようとする船舶は、航路を航行する他の船舶の進路を避けなくてはなりません。
② 航路内を並列して航行してはいけません。
③ 航路内では他の船舶を追い越してはいけません。
④ 航路内では他の船舶と行き会う場合は右側を航行しなくてはなりません。
⑤ 航路内では海難事故を避けようとするときや人命救助に従事するときなど除いては投錨してはいけません。
(3)防波堤の入り口付近
出航船が優先
防波堤の入口や入口付近で船舶同士が出会った時は、出て行く船(出航船)が優先になります。港に入る船(入港船)は防波堤の外で待機するなどして出て行く船の進路を避けなければなりません。
イラスト
(4)防波堤等の突端付近での航法
港内では防波堤の突端または停泊中の船舶を右舷に見て航行するときは、できるだけこれに近寄り、左舷に見て航行するときは、できるだけこれから遠ざかって航行しなくてはなりません。(右小回り、左大回り)
イラスト
(5)港内での義務
1 港内における速力
港内及び港の境界付近では、船舶は他の船舶に危険を及ぼさないような速力で航行しなくてはなりません。引き波によって付近の停泊船や船上作業に従事してる人達に影響を及ぼさないようにするとともにいつでもすぐ止まれるよう十分減速しなくてはなりません。
2 汽艇等は係船浮標や他の船舶に係留してはいけません。
3 その他 港内での制限事項
① 船舶交通の妨げとなる強力な灯火や汽笛またはサイレンを鳴らしてはいけない。
② 油送船の付近では、相当の注意をしなければ、喫煙や火気を取り扱ってはいけない。
③ 船舶交通の妨げとなるおそれのある構内の場所では、みだり漁労をしてはいけません。
④ 特定港内でボートレース、ヨットレースなどを行う場合は、あらかじめ港長の許可を受けなければなりません。
⑤ 航行中の長さ7 m 未満の帆船及びろかいを用いている船は、夜間は白灯(白色の携帯電灯など)を周囲から見えやすい場所に常時表示しなければなりません。
第3章 特定海域での交通ルール (海上交通安全法)
海上交通安全法は、船舶の混み合う海域での危険の防止、交通の安全を図るために特別の交通方法を定めたものです。
(1)適用海域
海上交通安全法が適用される海域は、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海の3つの海域のみです。
(2)航路・航法
適用海域には、11の航路が定められています。
①(東京湾)浦賀水道航路
②(東京湾)中ノ瀬航路
③(伊勢湾)伊良湖水道航路
④(瀬戸内海)明石海峡航路
⑤(瀬戸内海)備讃瀬戸東航路
⑥(瀬戸内海)備讃瀬戸北航路
⑦(瀬戸内海)備讃瀬戸南航路
⑧(瀬戸内海)水島航路
⑨(瀬戸内海)来島海峡航路
⑩(瀬戸内海)宇高東航路
⑪(瀬戸内海)宇高西航路
(3)航路航行の義務
長さ50 m 以上の船舶は航路を航行しなければなりません。
プレジャーボートを含む50m 未満の船舶は、航路航行の義務はないので安全上問題(深さ等)がなければ航路の外側を航行して大型船の航行を妨げないようにしましょう。
(4)航路内での速力の制限
浦賀水道航路、中ノ瀬航路、伊良湖水道航路、水島航路の全区間と備讃瀬戸東航路、備讃瀬戸北航路、備讃瀬戸南航路の定められた区間では12ノットを超える速力で航行してはいけません。
(5)航路の横断
航路を横断する場合は、安全を確認した上で航路からできるだけ早く出るように直角に近い角度で速やかに横断しなければなりません。
(6)航路への出入り、横断の制限
備讃瀬戸東航路、来島海峡航路の一部区間では航路への出入りまたは横断が禁止されています。
(7)錨泊の禁止
航路では、人命救助ややむを得ない場合を除いて錨泊してはいけません。
(8)灯火・形象物
*緊急緊急用務の船舶は、昼間は紅色の円錐形形象物を表示。夜間は紅色の閃光を発する全周灯を1個。
*巨大船の進路警戒船は、昼間は紅白の吹き流し。夜間は緑色の閃光を発する全周灯を1個。
第4章 湖川・特定水域での交通ルール
湖や河川であっても、海上衝突予防法や港則法が適用される水域では、これらの交通ルールを守らなければなりません。また海上衝突予防法等の適用されない川や湖などでは国土交通省が河川法に基づいて定めているルールや地方自治体が条例で定めているルールがあり、そうしたところはこのルールを守らなければなりません。
湖や河川に海上交通安全法が使われることはありません。
4-1 河川法に基づくルール
(1)河川通行標識
国土交通省が河川法に基づき、河川を航行する場合のルールを決めています。
(2)河川通航標識の例
標識
4-2 水上安全条例に基づくルール
(2)水上安全条例に基づくルール
河川や湖沼など、内水面における水上交通の安全を図るための総合的な交通ルールとなっている場合が多く、また特定の漁業者や遊泳者の安全確保を目的に加えているものもあります。これらは都道府県警察の管轄となり違反者には懲役や罰金などの罰則規定を設けています。
東京都水上取締条例、滋賀県琵琶湖等水上安全条例、山梨県富士五湖水上安全条例、中禅寺湖水上安全条例、沖縄県水上安全条例などがあります。
4-3 その他の条例に基づくルール
(1)迷惑行為の防止を目的とした条例
湖などで、水泳や水遊びなど小型船舶以外のレジャーを楽しむ人たちと水上オートバイやモーターボートなどとのトラブルが多く発生していることから、トラブルを防止して遊泳者などの安全を確保する目的で迷惑防止条例を設け、その中でモーターボートなどによる急旋回やジグザグ運転等の危険行為を禁止しています。
(2)環境保全を目的とした条例
環境の保全を目的として、静音を担保するため航行時間を夜9時から朝7時までは禁止としたり、航行中の騒音を規制したり、環境への負荷の少ないエンジンオイルを使用ことを奨励したりする条例を設けたりしています。
第3編 運航
第1章 操縦
1-1 操舵の仕組み
①船外機船
ハンドルを回すと、エンジン本体の向きを変えることにより、プロペラの向きを変える。
②船内外機船
ハンドルを回すとプロペラを回すドライブユニットの向きがかわり、プロペラの向きが変わる。エンジンは船内に固定されていて方向を変えない。
③船内機船
ハンドルを回すとプロペラの後ろにある舵板の向きが変わる。
④ウォータージェット船
ハンドルを回すとウォータージェットの噴射口の向きが変わる。
1-2 操縦特使
(1)舵効き
1 船の形や推進方式に関わらず、高速航走時は舵の効きがよく、速力が遅くなるほど舵効きは悪くなります。
2 潮流などの流れに向かって航行する時や、向かい波の時は舵の効きは良く、逆に後ろから流れを受けてる時や追い波の時は舵効きが悪くなります。
(2)旋回時の傾斜
1 排水型のボートは旋回時に外側に傾斜します。
2 滑走型のボートは旋回時に外側に横滑りしながら内側に傾斜します。
(3)キック
航走中に舵を切ると船尾が元の針路の外側に押し出されます。(右に舵を切ると船尾は左に)この現象をキックと言います。
キックを意図的に利用すれば、船からの落水者(右舷側に落水した場合は、直ちにニュートラルにするとともに右にいっぱい舵を取ります。)や水面の浮遊物をプロペラに巻き込まないよう船尾を振って避けることができます。
(4)プロペラの作用
プロペラが回転するとき、水圧の深いプロペラの下部と上部では水圧が異なるために抵抗も変わってくるので、その差によって船尾を横に動かす力が発生します。
一軸右回り船では、前進時は船尾を右に、後進時には船尾を左に動かす力が発生します。
1-3 船体の安定・バランス
(1)トップヘビーとボットムヘビー
① トップヘビー(重心が高く、復元力が小さい)
荷物などを高い位置に積んだ状態をトップヘビーといいます。
風や波を受けたときや旋回時の船体の傾きが大きくなるので転覆の危険があります。
船体の横揺れの周期は長くなります。
② ボトムヘビー(重心が低く、復元力が大きい)
重量物が低い場所に積まれた重心が低くなった状態をボットムヘビーといいます。
復元力が大きくなるので安定性が増します。船体の横揺れの周期は短くなって早くなります。
表
(2)トリム
船首と船尾の喫水の差をトリムといいます。
①船首トリム
船首側が船尾側より沈んでいる状態。船首が波に突っ込みやすくなります。
②イーブンキール
船首喫水と船尾喫水が等しい。
③船尾トリム
船尾側が船首側より沈んでいる状態。
適度な船尾トリムは、プロペラの効率が良く、舵効きも良い。
船尾トリムが大きすぎると、船体の抵抗が大きく、速力が出ない。
荒天時などは船首が左右に振れて針路を保ちにくい。
1-4 出入港 錨泊
(1)出入港時の注意点
出入港は、原則として夜間を避け、昼間できれば風潮流の影響の少ないときを選んで行います。
港やマリーナ、およびその出入り口では微速航行(徐行)が原則です。
(2)離岸
離岸には前進離岸と後進離岸の二つの方法があります。
どちらの方法でも舵の向きを変える際に船が振れ動き、前進離岸の場合は船尾が、後進離岸の場合は船首が桟橋に寄って行くので、係留ロープを解いたら船を十分に桟橋から話して発進するようにします。
(3)着岸
着岸する前に係留ロープ、フェンダー、ボートフックなどを事前に用意しておきます。
着岸の際は、スピードと舵の調整が重要です。必要に応じて前進、中立、後進を使い分けてスピードコントロールをします。基本的には桟橋に向かって30°ぐらいの角度で接近します。風や流れの影響で船が振られることもあるので、舵を適宜使って方向を修正し最後に桟橋と平行になるように舵をとり、止めます。
(4)係留
船を桟橋などに係留するときは、風上側(流れがあるときは上流側)の係留ロープを先に結びます。解くときは逆。
(5)錨泊 (錨地と水深、走錨)
アンカリングする際は、水深と底質のチェックが大切です。底質が泥や砂の場合は柔らかいのでアンカーがよく効きます。石や岩、サンゴなどは効きが良くありません。
アンカーロープの長さは、水深の3倍くらい出すので、自船のアンカーロープの長さを考慮し、あまり深いところは避けましょう。
1 アンカリングの手順
出来る限り船首方向から風や潮流などを受けるようにして微速で前進し、アンカリング地点まで来たらクラッチを一旦後進に入れて船の行き足を止めます。
アンカーを静かに投下しアンカーロープを送り出します。
アンカーが着底したらクラッチを中立から再度後進に入れて微速でバックします。
水深の3倍ほどロープが出たところで一旦クリートなどに軽く止め、クラッチを中立にして後進の惰力でアンカを効かせます。アンカーが効いていることをチェックしたらロープのエンドをクリートなどに確実に結びます。
アンカーロープは、風潮流が強いときは長くする。水深の5から10倍。
アンカーとロープの間にチェーンを入れるとアンカーの効きが良くなります。
2 走錨
アンカーを打っている底質が悪かったり、風波が強くなると走錨することがあります。
走錨していると分かったときは、泥や砂などの底質の良いところにアンカーを打ちなおし(転錨)ます。
走錨の判断
1 他船との位置関係が投錨時と大きく変わっている。
2 風を受ける舷がいつまでたっても同じ。
3 アンカーロープがピンと張ったままになっている。
4 錨を中心に振れ回っていると走錨していない。
1-5 河川や狭い水道の航行
(1)河川は流れと水深に注意
河川は大雨のあとは、川の流量が増し、流速が速くなり、浮遊物が多くなります。
河口付近は潮汐の影響によって水深が変化します。
川の湾曲部は内側が浅くなっています。
川幅が急に広がっているところでは、中央部が浅くなっています。
(2)河口付近は、巻き波や三角波といった危険な波が立ちやすく転覆などの事故が多くなっています。
(3)狭い水道
流れと同じ方向へ進む場合は、舵効きが悪くなるので、順調(つれ潮)の強い時は通行を避けるべきです。潮流が反転する前の流れが止まる憩流時あるいは弱い逆潮の最も操縦しやすい時期に水道を通過するようにしましょう。流れが速い時は通航を避けましょう。
(4)狭視界時の航行
① 見張り員を増員するなど見張りを厳重にする。
② 窓を開いて他船の霧中信号の音を聞き漏らさないようにする。
③ 視界の半分で停止できる速力に落とす
④ 昼間でも航海灯を付けて目立つようにする。
⑤ 自船の存在を知らせるために、霧中信号を行う(ホーンを鳴らす。なければ笛)
⑥ 航海計器などで常に自船の位置を把握する。
岸からどの位離れているか水深はどの位か。
船位が分からなくなった時はやみくも走らず、エンジンを中立にして停留し、視界の回復を待つ。エンジンは止めない。
1-6 曳航時の注意点
(1)曳航
① ロープの取り方。
丈夫なロープを使う。
ロープの長さは、引く船と引かれる船の長さの和の3倍程度とします。
ロープの取り方は、引く船の中心に荷重がかかるように後部両側のクリートにÝ字型にロープを取り、引かれる船は前のクリートに結ぶなど、ロープが両船の船首尾線上を通るように結ぶ。緊急時にはすぐ解き放せるように結ぶ。
②曳航時の操船
引かれる船はできるだけ軽くする。人や荷物は、できるだけ引く方の船に移す。
重心を船尾よりにし、前を軽くする。
引き始めは微速でゆっくりと進み、曳航ロープが張ったら徐々に増速します。が曵航中は常に低速で行います。
③波浪が高いときは曳航ロープを長くします。
狭視界時や狭い水道を通過する場合、交通量が多いところは曳航ロープを短くし速度を落とします。
(2)水上スキー等を引く場合
①引く船にプレーヤーの状況を監視する見張り役を立てる。
②見張り役とプレーヤーの間のジェスター(サイン)を決めておく。
③操縦者は、プレーヤーのことが気にかかるが安全運転に徹する。
④トーイング中は自船の操縦性能が制限される。
⑤旋回時のスピードが速く、旋回半径が小さいほど、プレーヤーは外側への降られ方が大きくなる。
⑥プレーヤーを船に引き上げたり、ロープを回収するときは、プロペラへの巻き込みに気を付け、エンジンは止める。
第2章 航海の基礎
2-1 海図
海図や水路書誌を水路図誌と言います。
(1)海図
海図は、航海に用いる海の地図で、海岸線や灯台、航路標識、水深、障害物など船の航行に欠かせない様々な情報が書かれています。
海図は、最新のものを用います。
プレジャーボート用には、海図とは別に作成された、ヨットモーターボート用参考図があります。
(2)高さと深さの基準
海面は、潮汐によって上下していますが、海図で用いられている高さや深さは、下記の水面を基準にした数字です。
①最高水面 最大満潮時の水面 (橋の高さ 海岸線)
②最低水面 最大干潮時の水面 (水深 干出の高さ)
③平均水面 潮汐がないと仮定した時の水面で、永年の観測値から求めたもの。(山の高さ 島の高さ)
2-2 航海計器 磁気コンパス
(1)磁気コンパス
北を0度として右回りに一周を360°とします。
北 N 000°
北東 NE 045°
東 E 090°
南東 SE 135°
南 S 180°
南西 SW 225°
西 W 270°
北西 NW 315°
(2)偏差
磁気コンパスが指す北は、磁北といって真北と一致しない。
真北からのずれを偏差という。
地球の磁気が移動するため、偏差は地球上の場所及び年によって変化します。
磁北が真北よりも東側(右)に偏っている場合は偏東偏差といい、
磁北が真北よりも西側(左)に偏っている場合は偏西偏差という。
日本近海は5~8度の西偏差がある。
磁針方位に偏差を加減すると真方位が得られます。
イラスト
(3)自差
磁気コンパスは、船内にある磁気を帯びている鉄器類や電気機器などの影響を受けると磁北をささないで東か西に偏るこの偏りを自差と言います。
自差は、磁気コンパスの設置場所が変わったときや鉄器類を近づけたとき、船首方位が変わったときなどに変化する。
(4)簡便な方角の測定
北半球では、アナログの腕時計を水平に保ち、短針を太陽に向けるとその時計の12時と短針の中間がほぼ南にあたります。
(5)GPS
GPS は グローバル・ポジショニング・システム の略で人工衛星を利用した精度の高い測位システムです。地球上のどこでも、24時間いつでも、どのような天候でも、ほぼ正確に現在地を知ることができます。
2-3 沿岸における航法
(1)緯度、経度を求める
海図上で緯度、経度を求めるには、両サイドの緯度メモリで緯度を、上下の経度メモリで経度を測ります。
(2)距離は緯度メモリで求めます。
海図上で、測定したい2地点間にデバイダーの両脚を当て、その地点の真横の緯度尺に合わせて目盛りを読みます。
(3)距離・速力
緯度1分は1海里で、1海里は1852mです。
1ノットは、1時間に1海里進むスピードです。10ノットは時速18.52km。
(4)対地速力と対水速力
対地速力は、不動の大地に対してどれだけの速力で進んでいるかを示すものです。
対水速力は、船が浮かんでいる水に対してどれだけの速力で進んでいるかを示すものです。 潮流などの流れがある場合、対地速力と対水速力は一致しません。水の流れの分だけ差が生じます。
(5)速力の計算
速力=距離÷所要時間
(6)針路(方位)を求める
海図上の方位を測定したい2地点に三角定規を当て、コンパス図上に平行移動して求めます。
船は、風、海流、潮流の影響を受けて流されます。
例えば、5°南に流されるのであれば、5°北に針路をとる必要があります。
(7)船位の求め方
①方位線
物標の方位をコンパスで測定し、この方位を海図上のコンパス図の方位目盛りに三角定規を当て、これを物標のところまで平行移動して方位線を引けば舟はその線上にあります。
2つ以上の物標の方位を測れば、それぞれの方位線は1点で交差します。船はその交点にいます。この交点を緯度尺と経度尺で読み船位を求めます。
②トランシット
2つの物標が一直線上に重なって見えるとき船の位置はこの一直線上にあります。
トランシットは、船首目標として利用したり、変針目標として利用したりします。
2-4 航路標識
光、形、色、音、電波などによって船の航行を援助する施設を航路標識といいます。
(1)灯標・立標
障害物の存在を示すための構造物で灯火を発するものを灯標、灯火を発しないものを立標という。
(2)灯浮標・浮標
険礁や航路などを示すために、本体を海上に浮かべた構造物で、灯火を発するものを灯標、灯火を発しないものを浮標という。
(3)浮標式
標識は、種別毎に本体の塗色や灯光の色が決められていて、トップマークで識別できるようになっている。
(4)灯台
灯台や航路標識など、灯火を発する